2020/05/23

ロメール『モンソーのパン屋の女の子』

(イントロダクション)
語り手の「ぼく」は、街角ですれちがうある女の子に憧れている。向こうも気があるのではないかと淡い期待をもっている。ところがある日から、彼女が見かけられなくなり、語り手は当てもなく界隈をうろつく。やがてルブトー街の角にあるパン屋にぶつかり......

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1962年製作の『モンソーのパン屋の女の子』は《6つの教訓物語 Six contes moraux 》というシリーズの第一弾。同年に公開された『獅子座』が興行的には失敗に終わったため、「ロメールはいったん商業映画から撤退し、16ミリで『モンソーのパン屋の女の子』(1963)と、中篇『シュザンヌの生き方』(1963)を撮り、シネクラブなどでの上映活動をおこなっていきます。」(中条省平『フランス映画史の誘惑』 p.187。作品に付記された年は公開年)

パリ、ヴィリエ交差点 le carrefour de Villiers。その東はバティニョル大通り Boulevard des Batignolles。北にはレヴィス街 Rue de Lévis と市場(マルシェ)。角のカフェ『ル・ドーム(・ド・ヴィリエ) Le dôme de Villiers』。左手にヴィリエ通り Avenue de Villiers とメトロの駅 Métro de Villiers。西のクールセル通り Boulevard de Courcelles はモンソー公園 Parc Monceau に通じ、その近くにはかつての学生会館が解体中である。
(冒頭のモノローグより)

パリのモンソー界隈を舞台にしていて、このようにかなり詳しく場所を説明している。さらに主人公が表題のパン屋に辿り着くまでにも、通りの様子や標示板が映し出され、レヴィス広場 Place de Lévis、ルジョンドル街 Rue Legendre、ソシュール街 Rue Saussure、そしてルブトー街 Rue Lebouteux を通ってゆく。一見、ドキュメンタリー映画のよう。一般にこの界隈は裕福な人々が住む17区として知られているけれど、レヴィス街の市場など、スクリーンからは庶民的な雰囲気が伝わってくる。ここは現在でも、終日歩行者天国の通りらしい。地図で主人公のぶらつく道を追えて面白い。20分程度の小気味の良い短篇。

〔参考〕

〔シリーズ《6つの教訓物語》〕

エリック・ロメール『モンソーのパン屋の女の子』
Éric Rohmer, La Boulangère de Monceau, 1962

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