2018/01/01

犬の伊勢参宮

犬の伊勢参宮 いぬのいせさんぐう 〔譚海 巻八〕 寛政二年の秋、安房国ある荘屋の許に飼ひたる犬、伊勢参宮したきよし、主人の夢に見えけるとて、その犬を参宮にいだし立てける。村送りに人をつけてやりけるに、この犬恙なく(つつがなく)参宮して帰りける。勢州にも見たる人の物語りせしは、他の犬と違ひて、呼びてものを喰はすれば、やがて人家の板敷のうへにのぼり、最早いねといへば、そのまま飛びおりて行きける。はじめ主人より鳥目三百文犬の頭にかけて出しけるが、路次にても鳥目五文三文づつあたふる人有りて、帰路には三貫文にあまりたるほどになりて、犬のくびにかけてやりがたければ、村送りの者持送りて、やりたる事になりたりとぞ。
柴田宵曲篇『奇談異聞辞典』(ちくま学芸文庫)より
年越しのテレビ番組を見ていたら、「おかげ犬」のことがちらりと出てきたので、これを思い出した。房総半島の端から神宮のある三重県伊勢までというから、随分と長い道のり。

良い一年、良い戌年でありますように。


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