2015/04/12

マルセル・シュオッブの小説

シュオッブに惹かれたのは、国書刊行会の選集『黄金仮面の王』を読んでから。表題の『黄金仮面の王』と『二重の心』から数十篇を収めたもので、これに『小児十字軍』が加わる。手前勝手に、『モネルの書』や『架空の伝記』よりも、この書籍にこそシュオッブの精髄が詰まっていると思い込んでいる。

選集としては矢野目源一や多田智満子の翻訳もあり、世間ではこれらのほうが評判が良いようなのだが、私には本書のほうが読み応えがあり、大浦甫の翻訳を通してもシュオッブの丁寧な言葉選びが感じられる。

ところで、二、三年前から国書刊行会が「全集」を刊行するという噂がある。全集というのがどこまでの範囲を示すのか知らないが、首を長くして待つ身としてはそろそろ形にしてほしいところである。

〔参考〕
  • 『黄金仮面の王』大浦甫訳、国書刊行会
  • 『黄金仮面の王』矢野目源一訳、コーベブックス
  • 『少年十字軍』多田智満子訳、王国社/森開社
  • 『モネルの書』大濱 甫訳、南柯書局
  • 『小児十字軍』大濱 甫訳、南柯書局
  • 『架空の伝記』大濱 甫訳、南柯書局


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