安楽椅子探偵ジョゼフ・ルボルニュが解決する十三の事件ファイル。
語り手が毎度のように「君も解いてみたまえ」とルボルニュに突きつけられる。まず新聞記事が掲げられたり、二人の会話でその詳細が掘り下げられたりした後、ルボルニュによる解き明かしで締めくくる。語り手はよくパイプをくわえているので、作者のシムノン自身によく似た人物なのかもしれない。人物の心理描写が中心のシムノン小説にあっては異色の作品だけれども、なかなか小気味がよい。
同時期(1932年)に『13の謎 Les 13 Énigmes』、『13の被告人 Les 13 Coupables』というタイトルの短篇集も刊行され、これらも戦前に翻訳が出たらしい。
〔収録篇〕
- ルフランソワ事件 L'Affaire Lefrançois
- S・S・Sの金庫 Le coffre-fort de la S.S.S.
- 書類第十六号 Le dossier no.16
- 奇怪な死体 Le mort invraisemblable
- B…中学の盗難事件 Le vol du lycée de B...
- 偽名のポポール Le Dénommé Popaul
- クロワ・ルウスの一軒家 Le Pavillon de la Croix-Rousse
- 『ロレーヌ号』の煙突 La cheminée du Lorraine
- 三枚のレンブランド Les trois Rembrandt
- 14号水門 L'Écluse no.14
- 二人の技師 Les deux ingénieurs
- アストリヤホテルの爆弾 La Bombe de l'Astoria
- 金の煙草入れ La tabatière en or
〔参考〕
- (人物事典)ジョルジュ・シムノン in Sibaccio Notes
- ミステリー推理小説データベース Aga-Search
ジョルジュ・シムノン『13の秘密』大久保輝臣訳(創元推理文庫)
Georges Simenon, Les 13 Mystères, 1932
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