«La Rue aux trois poussins» (仮に「ちびっこ三人のいる通り」としてみた)はシムノンが書いた短篇の一つ。第2次世界大戦中の1941年に «Gringoire» という週刊新聞に掲載された後、1963年に同作を表題にした短篇集に収録、出版された。
物語の冒頭、陽の光がまばゆく感じられる午前中、三人の小さい子どもが道端にしゃがみこんで遊んでいる様子が描かれる。「頭を下げ、お尻は空のほうにつきだし、脚を開いている。三羽のひよこが餌をついばんでいるよう。」歩道の水浸しになった敷石の隙間をほじくり返し、どうやら大運河の建設工事にいそしんでいるらしい。ところが、そのうちの一人ビロに、不気味な影が射して......
無邪気な子どもの一言が状況を一変させる、取り返しのつかない事態に追い込むといった話はほかの小説にもありそうだが、そこはやはりシムノン。衝撃的な破局とまではいかないまでも、陽射しが眩しいと感じていたのに急に翳り、そのうち雨が降り出してくるといったような展開を予感させる。
〔収録篇〕
- 「ちびっこ三人のいる通り」La Rue aux trois poussins
- 「《聖アントワーヌ号》の喜劇」Le Comique du « Saint-Antoine »
- 「メリーの夫」Le Mari de Mélie
- 「ヴァスコ号の船長」Le Capitaine du Vasco
- 「無愛想者の犯罪」Le Crime du Malgracieux
- 「キルケネスの医師」Le Docteur de Kirkenes
- 「オランダ人の足取り」La Piste du Hollandais
- 「《雌牛のしっぽ》農場の未婚姉妹」Les Demoiselles de Queue-de-Vache
- 「三度の赦祷を行なった朝」Le Matin des trois absoutes (*1)
- 「《鏡付き衣装棚》号の沈没」Le Naufrage de « l’Armoire à glace »
- 「両手いっぱい」Les Mains pleines
- 「ニコラ」Nicolas
- 「アネットとブロンド髪の婦人」Annette et la Dame blonde
- 「フォンシーヌの喪」Le Deuil de Fonsine (*2)
(*1) 初出時の題名は「児童聖歌隊員の自転車」Le vélo de l'enfant de chœur 。
(*2) 短篇集『メグレとしっぽのない小豚』にも収録。
ジョルジュ・シムノン「ちびっこ三人のいる通り」
(短篇集『ちびっこ三人のいる通り』所収)
Georges Simenon, La rue aux trois poussins, 1963
(短篇集『ちびっこ三人のいる通り』所収)
Georges Simenon, La rue aux trois poussins, 1963
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